丁寧な説明とフォローが経営の鍵となる
事業所の裁量によるところが多くその分配方法に頭を悩ませている管理者も多いであろう特定処遇改善加算ですが、どういったことを想定しておくべきなのか改めて確認しておきましょう。
特定処遇改善加算は、経験や技能のあるベテラン介護福祉士について月8万円の給与改善もしくは年収440万円以上となる人が1人以上、その他の介護職員の平均改善額はベテラン介護福祉士の2倍以下、その他の職種の平均改善額はその他の介護職員の2倍以下、という3つのグループに分けた分配ルールが定められていますが、それでも曖昧な部分が多いため不安を感じている事業所が多いようです。
重点を置いて改善されるベテラン介護福祉士についても、その目安は「勤続10年以上」とされていますが、例えば同一の職場で10年なのか、いくつかの職場を通して10年なのか等の捉え方は事業所の判断で行って良いことになっています。また、その他のグループに対する配分についても上限は決められていますが下限はないため、最悪1円ももらえないということもあり得ないことはないのです。
つまり、現在介護職10年目であっても職場によっては最大限の恩恵を受けることができたり、逆に期待とは全く異なる状況を受け入れざるを得ない場合もあるので、介護職員がより良い条件の事業所へ転職しようとする可能性が大いに考えられるのです。小規模な事業所では今回の加算で入ってくる金額自体もあまり大きくないと予想できるので、全ての職員が納得できる金額を分配することは難しいかもしれませんが、そのままにしておくと事業所を代表するような有能な介護職員が他の事業所へ行ってしまい、さらに経営が厳しくなるという悪循環に陥る可能性があります。
これまで介護の仕事はいくつかの資格はあるものの役割分担が不明瞭で、専門性に差がない状態とされてきました。しかし政府は今後、ピラミッドのような形で階層分けすることができ、且つ多くの人が参入できるような人材状況を目指しています。今回の特定処遇改善加算も、介護福祉士への待遇を改善しピラミッドの上部に位置付ける狙いがあって行われるものです。規模の大小などによる事業所間の格差には注意しなければなりませんが、政府はこのような具体的な改革をさらに進めていく必要があるでしょう。
今回は介護福祉士にスポットが当てられていますが、利用者に適切な介護サービスを行うにあたって重要な役割を担うケアマネージャーについてはほとんど改善されていないと言っても良いでしょう。特定処遇改善加算は当初、他介護職員との給与の差を理由にケアマネージャーを対象としない方針でしたが、結果的には条件付きではありますが対象に含められることとなりました。今後ますます需要が増えるであろう立場ですから、納得の待遇ができるような施策が行われるまでどのようにフォローしていくべきか介護業界全体で考えるべきです。
長く働き続けるためには、給与を含め様々な条件に納得できる職場を選ぶことが肝心です。1人の力で情報を集めて判断するには限界がありますので、転職のプロであるエージェント「レバウェル介護」の利用をおすすめします。
介護職の給与は長く働くだけではなかなか上がりませんが、自分の評価を上げることによって特定処遇改善加算の支給額が増えたり、手当がつくことが期待できます。職場自体を見直したり、資格を取得するなど自ら動き出してみましょう。
全員が納得するような仕組みを作ることは難しいですが、特定処遇改善加算の運用に関しても様々な立場から違った意見が上がっています。今後改善していかなければならないポイントを想像しながら見てみましょう。